2005-04-29 <文科省学力調査>
_ 23日朝の新聞各紙は、一面扱いで前日に文科省が『03年度学力調査の結果』を公表したと報じた。この『結果』について、巧妙賢くおまけにボケをかますのが上手い文科省は、「基礎事項を徹底する学校現場の努力で成果は上がりつつあるが、国語の記述問題などにはなお課題が残る」というニュワンス。 我等がアイドル、教育界のナポレオン3世中山文相は、「学力低下に歯止めがかかったが、ここで安心するわけにはいかない。手綱を引き締めて取り組む。ゆとりじゃいけないと気づいて軌道修正した結果、今度のテストに若干ながら表れているんじゃないか。底を打ったという感じで上がりつつある。」とコメントしている。百ます計算の陰山英男氏は、「全国の教師のプライドに火が付いた結果で予想通り。」、「ドリル以外に原体験を与える社会全体の教育力が必要」と言っている。 教育社会学者の苅谷剛彦氏は、「出やすいところで一定の結果が出ただけ。」、「ゆとり教育の成果と考えるのは間違い」と。国立教育政策研究所の責任者は、「真っ青な顔で発表しないといけないのかと思っていたら、青白い顔程度ですんだ」と冗談を言ったと報ぜられた。 実は今回の正答率は、前回を若干上回っただけ。テストなんて子供のやり方をちょっと変えれば少しぐらい点数が上向くのは当然だ。上からや社会からの圧力のためテストを真面目に受けさせたのだ。そもそもこの結果は、番号で生徒が把握されるものであり、各クラス各学校各地域の集計値を出すことができるもので教師の能力の判定に使う要素がどこかにあるはずである。私の元には、「うちの学校ではテストの直前に過去問指導をした」という報告も寄せられている。自らテストを行いそれを巧妙な世論操作に用いることは、国立教育政策研究所が以前からやっていた「お家芸」である。昨年の教育についてのアンケート調査書には氏名記入欄があった。結果は、「これほど多くの御家庭が評価して下さっていることを教師たちは励みにするべきだ。」というおめでたいとしか言い様のない優等生解答で、現実にはほとんどの御家庭が教師の質に幻滅している事態を隠ぺいした。今回も発表が金曜日の午後。土日で仕事がストップすることを考えてのことに違いない。何と下らない連中だろう。彼等は子供たちが劣悪な教育に喘いでいることをあくまでなきこととして扱おうとする算段だ。 案の定、この結果を受けた教師たちの多くは、「報われた」と発言している。 この調査結果の最も肝心な点は学力結果ではない。生徒たちの実に7割が「勉強」がつまらないと応えているところである。3割がつまらないと言うなら理解できる。7割がつまらないと言うなら、テレビ番組なら打ち切りどころか放映さえされないことだろう。中高生たちは言う。「学校の授業は本当につまらない。つまらない大人がつまらないことをつまらなく語っている。」小学生たちは言う。「うちの先生はどこか人間的に欠けている変な人間だ。もちろん授業も良く分からない。」と言うものが少なくない。これがおおよその実体だ。この国では、なぜか、子供たちが勉強をつまらないと感じる教育の見直しが全く行われない。 また各紙も、「朝食を取らない子に学力不足が目立つ」と報道する。これではそれこそ良く分っていない親はコンビニで朝食を買ってくるという行動に走ることになるだろう。新聞はこのような気の効いた面白さをねらったコピーを考えるより、客観的に「夜更かしを容認して、生活が不規則になり、朝食などが不規則になることを容認する家庭環境に学習上の問題がある。」と報ずるべきである。子供たちが最も嫌うのは、自己欺瞞に自覚的でない高所的な大人たちであることを忘れてはならない。子供相手だから人格の劣等がバレてもいいと思うのは大きな間違いである。 「記述力の低下が問題である」と言う。これは当たり前の結果である。なにせ文科省主導のセンター試験が記述や自己表現を全く許さないものなのだから。穿った予想をすれば、次回の学力試験では子供たちが気安い題材と解答法の導入を計ってアベレージを上げようとしてくるだろう。 社会学者と言うのは、データを確実に読もうとするものたちのことだろう。そう言った立ち場の人たちから、ごく一部を除いて積極的な批判の声が聞かれなかったところがつくづくこの無自覚な教育行政の現状を支えていると思われた。行政は国民サービス。そのサービスの最たるものである子育て代行業の教育行政がこの愚か者たちのグルによって構成されているのを見る時、我々はこのシステムにおける「効果」を期待することはできない。つまり、いわば福祉行政に頼ることなく介護ビジネスに積極的に金を払うのである。 国家の力で優れた教師を集めることのできない行政組織、これは底に穴の開いた釣り舟に等しい。日の丸君が代なんてどうでも良い。おまけに教職者の労働保護もいいかげんにしてもらいたい。とにかく早急に我国の子供たちが前向きに学ぶことができる教育環境の設定を実現していただきたい。