2009-09-12 サピックス買収
_ サピックス買収
サピックス中高等部が、代ゼミによって買収された。すでに東進が四谷をベネッセはお茶の水ゼミナールや鉄緑会などを傘下に。私見で思うに、どうも出版部門が充実した側がそうではないものを買収する傾向があるらしい。
私はかねてより日本共産党と創価学会の共通点は出版収入が大きいことではないかと思って来た。そして、さらにこれをより合理的に踏襲したのが幸福の科学だった。
しかし、予備校業界は、お客が宗教よりさらに活字に向かうことが前提の世界にあるので、気がつけば必ず印刷したものを提供することが仕事の本線になることになる。だからこそ、代ゼミを中心とした予備校業界は、有名講師の衛星画像と最先端の受験メソッドテキストの提供、つまり大量に作ったソフトをより広範に売るユニクロ的営業が正しいということになるのかもしれない。東進ナガセもビデオ授業を得意とする。
もし受験教育と出版物が大きな利潤を生み出せば、その利潤を何かに投資しなければ多大な法人税がかかる。で、この資本を投じてある中堅予備校を買収すれば、本社から要職を送り込んでテキスト制作の中枢部を研究し、それまでの評判と営業システムも取り入れた上で、本社の巨大システムで、全体的に作られた出版物やテキストを確実に多く売ることができることになる。巨大産業による顧客名簿と過去の集積的情報の吸収。
ソフトには、これを作る人と与える人が必要である。いくらソフトがあっても、実際に生徒たちにそのソフトを呈示したり、使い方を教えたり、その場所に連れて行ったりすることは人間のする仕事であろう。だいいちそれに必要な国語力はいったいどうやってつけるというのか。また、目の前の生徒たちの様子を見て、不安を取り除いたりヤル気にさせたりするのも人間の仕事だろう。それには技量と熱量がいる。つまり、人材が必要である。そしてその人材は「教育」によって育成されるはずである。それが紙やマスで可能だとするなら、教育とは限りなくコミュニケーションを情報に置き換えれば置き換えるほど利潤が上がることになろうか。でもそれでは「教育」ではなくなってしまう。
代ゼミはいったいいくらでサピ中高等部を買収したのだろうか?仮にその金額が200億円だとすれば、その株式の10%を持っている者は20億円得たことになる。
文科省から教育産業に天下る人はどれくらいいるのだろうか。でも、文科省官僚の3分の1が天下る先は、受験産業が生徒を送り込む大学であるから、もはや話はできているかのようだ。
私も教育と出版で生活して来たが、それがいかに卑しいことに繋がり得るかをつくづく「冗談」で考察させた今回の買収劇であった。