ブイネット教育相談事務所


2005-10-07  馬齢

_ 「いたずらに馬齢を重ねる」とは良く言うが、最近つくづくそう思うことがある。

教育の仕事に関わって30年が過ぎた。すると、我が国の教育機関が結局どういうことをしているのかかなりはっきりと見えて来る。

それは、驚くべき結論であると同時に信じられない結論である。

私はそれをここに書くわけには行かない。

そもそも、私は、教育に関して、多くの予言(将来的予測)をしてきた。そして、それは10年以上たつとどれもが正しいことが確認される。

つまり、私が考えることは、10年、20年経つと世間に受け入れられる段階に入るようだ。だから、現在それを言っても一般に通じないし、意味もない。

韜晦するわけではないが、私は真実がコワイのだ。できれば私の推論が誤っていることを望む。しかし、私が思うことを結論とすると、あらゆる事象が平明に了解されるのである。これは哲学的な結論であるとも思う。

同じ職を25年以上続けると、その仕事がどういうものであるかたいていの人に客観化されるだろう。

政治家も、マスコミも、官僚も、会社員も、医師も、弁護士も、それを知るだろう。

しかし、それを口にすることは、誰もがはばかることだろう。

今の私には、文科省関係機関が何をやっているのか、受験産業が何をしているのか、学校が何をしているのか、教職員組合が何をしているのか、実に良く分かる。そして、世間の人の考えの限界も致し方のない事実として分かる。 

私は、生活のためにこの仕事を続けてきたが、どうやら終わりが見えてきた気がする。

ただ一つ言えること、それは、成績向上を第一義にして、能力向上を第二義にすると、先ずほとんど必ず、30年後に後悔するということである。


2005-10-09 ドラゴン桜2

_ アエラの特集でドラゴン桜の記事を読んだ。

私が、祥伝社から、『わが子は最低点法で勝つ』を出し、受験プロの入試テクニックを公開したのは、平成10年のことである。実に、私が最低点法を開発してから20年が経ている。

私が最低点法を開発したのは、プロ家庭教師として、可能な限り短期間で受験成功するにはどうしたら良いかと考えた末の結論だった。しかし、その理由の根底には、暗記型の現行入試への強い批判と、人間性豊かな人材の育成のために、クラブ活動や芸術活動に充分に時間を割くことができるようにすることが目的であった。つまり、子どもを壊さずに入試合格を勝ち取るにはどうしたら良いかを考えた末の戦略だった。

教育カウンセラー、プロの受験専門家として、長年に渡って現場を経験した私は、受験によって多くの子供達が壊れてしまうことが、我が国の将来にとってマイナスであることを強く認識していた。

どれほど多くの人たちの相談を受けてきたことだろう。サピックスや日能研、あるいは新興6年生私立に入学したが、さっぱり勉強ができなくなってしまった子供達の親の相談を。

私は、確実に何割かの子供達がダメになってしまう教育を、「教育」とは呼ばない。教育とは全てのものに福音があるものでなければならないはずだ。ネオリベラリズム(新自由主義)は、一部の勝者と多くの脱落者を前提とした思想である。これをマスの大衆が支持するとは考えられないことである。

しかし、自ら騙されていることを国民が選ぶのなら、正直にやってきた私は敗北者である。文科省さん、貴団体の勝ちです。貴兄らは、「1%のエリートがいれば充分である」とかねがね言っていましたね。多くの国民の言語了解能力を奪う教育の推進。教育とは、騙されない人間を作るためのものであるという本線を、見事に脱線させることに成功した貴兄らは、この先この国をどこへ導こうというのですか。


2005-10-12 義務教育費国庫負担金地方移管ならず

_ やはりそうだったかと思われる方は多かったと思う。中教審は、官邸の意向を拒否し、義務教育費国庫負担金を地方に税源移管をしない答申案を提案した。

義務教育費国庫負担金問題は、岡山県知事など、地方の行政担当者が、文科省の権力を削減して地方独自の教育行政を行いたいと主張する、地方分権化の流れの中にあった。しかし、文科省の傀儡機関である中教審は、当然のごとくこれに抵抗した。

中教審に選ばれた委員の過半数は、文科省の意向に素直に応じるものたちであると私はかねがね洞察してきた。結果的に、彼らが協力するのは、文科省の権力保持であり、彼らの権益の確保である。

政府には弱味がある。それは、統治のために文科行政を利用してきたことだ。我が国の教育の主目的は、センター試験の導入を象徴に、国民の多くに暗記学習を強い、判断力をなくすことだった。その結果が国立大学(特に大学院の)学力低下である。

国民がこのことの罠に完全に気づくには、おそらくは、まだ10年以上の年月が必要であろう。ここまで遠大な教育詐欺に気づくものはそうはたやすく増えることはない。文科省の意向は、ごく一部のエリートと判断力を失った国民の育成であったことはもはや疑うべくもない。自らの権力保持を、国民の能力低下に目論んだこと、これは明らかなことである。それを知って地方が怒るのは当たり前である。


2005-10-14  失敗

_ 全国からの相談を受けているうちに、数少ないながら失敗も起こる。

最近の例であるが、私立高校3年の女子生徒が、志望大学への合格のため、国語の学習法を教わりに来た。この生徒は利発でしかも真面目である。すぐに合格させられると判断して、その上の大学を受験することをも勧めた。その理由は、自分が志望する大学を滑り止めにする大学の入試問題研究が、志望大学合格に戦略上有利なことが分っているからである。例えば、立教や明治や中央を志望する場合、それよりやや難しい早稲田の入試問題を練習すると受かりやすいことが上げられる。

この生徒の場合、まともなやり方で、志望校過去問ですでに50%以上得点できるので、私の知る受験テクニックを伝授すれば、70%以上の得点はすぐに可能になる。

本などでも紹介している通り、私のやり方は、選択肢を見てだいたいの答えを予想し、同時に本文の内容を推測した上で出題文に取り組むやり方である。このやり方が最も有効なのは、センター試験の国語である。慣れると、出題文を読まなくても65%以上得点できるようになるから、出題文を読めば85%以上の得点が可能になることになる。

初めの授業で、国語のやり方を示した。次の授業の時、時間がやや余ったので、英語長文のやり方を示した。いつも通り、選択肢の最後に、「本文の内容と合致するものを以下の1〜8の中から2つ選べ」という問題がある。私は、このうちの2組みの3つの選択肢が、使用される言葉が重複する同一のカテゴリーの選択肢であり、他の2つは独立した選択肢であることを示し、この3つの選択肢からなる2組の中に1つずつ正解が含まれることを示唆し、その中で明らかに異なるものを排除し、その残りの中から常識的に答えと思われるものを選びだした。もちろんこの2つが正解であった。その他の4択の選択肢問題も、出題文を見ないで答えを予想し、これも4問中3問正解してみせた。

意外なことに、このことは彼女のプライドを傷つけた。こんなやり方ができるのなら、真面目に勉強することは意味がなくなってしまうと思ったようだ。その通り、闇雲な暗記学習を強いられる受験勉強などほぼ無意味に近いし、アタマにも悪いというのが私の持論であるのだから、それは当然のことである。しかし、私は間違っていた。実直に勉強するものに、それを充分に認めず、私のやり方を示せば、普通の塾や予備校で楽しく勉強している子供達にとってそれが侮辱に相当することをつい見過ごしていた。私は、指導を受けることを止めることを申し出てきた彼女の親に、自分が至らなかったことを率直に詫びた。生身の人間相手の指導にいつまでたっても完全ということはない。無垢の少女をいたずらに傷つけたことを心から反省した次第である。


2005-10-18  学校制度に関する保護者アンケート調査

_ 様々なアンケート結果を報告する国立教育政策研究所が文科省の天下り機関であることは、これまで当ブログでも明らかにしてきた。その調査によれば、教師や学校のあり方について、70%が「満足である」と解答している。しかし、それは準記名投票による結果であることを知るものは以外と少ない。

ところが、内閣府が調査すると、70%以上の親が、学校教育は塾など民間教育に勝っていないと解答した。同様に指導力に対する不満は半分近くあった。これが当たり前の数字であろう。ちなみにこの調査はネットを使って行われた。

天下り会社が作った著しく合理性を欠いた検定教科書、指導力の向上がほとんど認められない現場教師。こんなことは、誰でも子どもを学校に通わせてみれば明らかなことである。

あらゆる学力低下の根本原因であるセンター試験の功罪について彼ら官僚の口から聞き出すことは不可能だ。かれらはまだ、余計なことに口を噤んでいれば、国民の多くが気がつかないと踏んでいるのだ。

子供達の多くが、無意味な暗記学習に埋没させられている現状。そしてそれは文科省の目的なのだから、文科省が解体されなければ改善されることはありえないことである。このことを指摘できない中教審の委員に、月に一回の会議で100万円以上給与を払うのは茶番としか言い様がない。国家の将来よりも自らの権益を優先させる役所、つまらない抵抗を試みるより、とっとと地方や現場任せに移行するべきではないか。


2005-10-19  義務教育費国庫負担金問題

_ 小泉首相は、中山文科相に、国庫負担金のうち公立中学分8千5百億円の地方移管を重ねて指示した。

新聞には、「中山文科相が、首相官邸を訪れ、現行制度を維持するべきだと懸命に説いた」とあるが、首相官邸内のことは新聞記者の知る由もない。またしても森前首相が缶ビール片手に「小泉は殺してくれと言っている」と語った芝居同様の可能性が高い。

私は小泉首相と中山文相はグルだと見る。その答えは、11月上旬の内閣改造で中山文相が閣内に残るか否かで判明する。

最近さっぱり「競争原理」を口にしなくなった中山文相は、「教員の質と量が最も大事だ」と発言していると言う。渡久山元日教組書記長は、中教審答申について、「負担率をこれまで通りの2分の1と明記して欲しい」と注文をつけている。

つまり我が国の教育現場を最悪の状態に招いた、文科省と日教組の両者が同様の意見になっている。

これはどういうことだろうか。

もし税源が地方に委譲されると、教員を雇うのは地方自治体になる。地方自治体は速やかに教員の評定制度を打ち出すだろう。その結果、日教組系の教師の多くが職を失う可能性が高い。また、文科省が権力を失うことは目に見えている。すると、天下り先の様々なビジネスが保証されなくなる。センター試験事務局、教科書会社、教育政策研究所を初めとする数多くの組織が天下り先が解体される。ことは経済の問題なのだ。

この問題は、道路公団の問題と極めて類似する。美味しい権力、美味しい仕事。問題の本質を解決しようとしなかった組織が断末魔の声を挙げて抵抗しているのだ。

ただ心配なのは、靖国神社に参拝してきた小泉首相が一気に右傾化を目指している可能性があることだ。そのことを見抜いて苅谷剛彦東大大学院教授は抵抗しているのであろうが、明らかにお茶大の耳塚教授よりも要領が悪い。苅谷は、最近自己保全に走って、やはり教員の質の低下は認めざるを得ないという方向性に転じた佐藤学東大大学院教授に笑われているに相違ない。中山文科相の言う通り、もはや教員の質の低下は否定せざる事実なのである。だからこそ、教育大学の学長たちが自己弁護代わりに官邸を批判せざるを得ないのである。

文科省と日教組、彼らは最後まで自己批判できない組織なのであった。彼らは期せずしてこの国の右傾化に手を貸している組織と言える。小泉首相にとって、両者とも橋本派と同次元の対象であろう。国民は、大幅増税を覚悟するしかないと言えそうだ。


2005-10-21 入試極意

_ もしも絶対合格のところを第一志望にするなら、入試に「勝負!」の要素はない。

受かるかどうか分からぬところを受けてみて受かるのが入試極意である。

最終最後までの過去問研究と合格最低点の確認。

完全に合格点を上回る筋道とは何か?

その答えは、紛れもなく、「アタマが良くなること」である。

では、アタマが良くなるには、どうしたら良いか?

それは実は「妥協しないこと」である。

自分の能力に限界線を引かないことである。

個々の「知」は、突き進んだところへ至ってこそ、確認され発展する。

まるで祈るかのように学習すること。

これまでの自分が至らなかった地点へ到達しようとすること。

忍耐と気合い、自己の能力向上に対する純粋な好奇心

自己開放は、自らが求めて努力し続けなければ与えられない。