ブイネット教育相談事務所


2006-11-30 <ムジナの知恵―連載打ち切り>

_ <ムジナの知恵―連載打ち切り>

「ムジナの知恵」と称して、教育改革の具体的提言を試みたが、相変わらず多忙中の筆者の力不足で、多くの読者に「黙殺」されたという感を禁じ得ない。これを「正当な評価」と捉え、次回執筆予定だった「では、教員の指導能力の向上にはどうしたら良いか?」は、出版物に回して最早書かないことにしようと思う。したがって、今回以降、筆者の随想にもどることにする。その方が書くべき面白い題材を後回しにする必要がなくて良いと思う。筆力の不足を申し訳なく思う。

昨日、長野山中で、優秀な編集者を半徹夜で独り占めにして、2月発刊予定の『できるだけ塾を使わずに受験に勝つ方法』の最終通読加筆修正を終了した。ご存知の通り、受験が迫ってさらに多忙に拍車がかかり、こうする以外に間に合わないための非常手段だったのである。

帰路、埼玉山奥大学出向後帰宅。「後書き」を執筆。いくつかの電話連絡を受けた後、事務所で医学部受験生とセッション。来春の医学部受験の展望を示し、予定時間を大幅に上回って大いに激励して「エネルギー注入」。疲労困憊の中、深夜飲酒検問を行う警察官に自分と同様の姿を見出し、実家に回ると、母に、「あんたが楽になるんじゃないかと思って、お医者さんに、お父さんの尿道に管を入れてもらったら、それが詰まり大出血。膀胱と前立腺に異常があるみたい」と報告される。

深夜二度目の尿を採ろうとすると、いささか汚い話で恐縮だが、紙おむつから尿が漏れて一大事。「だって、疲れたオマエを呼ぶのが気の毒だから」との弁。「お父さん、最近僕のことを『親孝行ですね』という人がいるけれど、『やりたい放題の高校生活の後、役にも立たない私立大学哲学科を3年遅れで卒業。その間アフガンで3ヶ月の行方不明の放蕩三昧。しかも就職もしないで突然結婚。こんなことに一言も文句を言わず耐える親がどこにいる。親不孝を絵に描いたような人生ゆえ、それを黙って容認したお父さんの世話をするのはせめてもの罪滅ぼし。親不孝ゆえの親孝行で、こちらとしてはかえってありがたいことですわ』とかほざきながら、紙おむつを替え、尿と便を採り、左右に寝返りを打たせながら汚れた寝間着を取り替える。長野での徹夜作業を語ると、「オマエがこんな人間になるとは、全く想像できないことだった」と、まるで歌舞伎の世界の人情話。しかし、全ては、この父親が黙って働き続けたことの結果なのである。

こうして看護に疲れ切った母にできるだけ負担がかからないような体勢を整えて、午前5時帰宅して、自宅デスクに戻ってこれを書いている。看護の傍ら、本日午後からの雑誌インタビュー草案には目を通し、メモを作る。その間に、朝日と日経に目を通し、いじめ問題についての、教育改革再生会議の混乱状態を再確認。改めて教育改革は絶対にないことを確信する。「仕事」より、あくまで地位保全を優先する醜い人たちに傲然とする。「恥ずかしい国日本」。ごまかしと世論操作しか考えられないお坊ちゃん政権に、つくづくむなしさを禁じ得ない。教育荒廃をないがしろにするこの国の未来は誠に暗い。せめてもバカ娘とバカ息子が、世代交代を通じて大人化する日をと「夢見る」が、この疲労困憊状態では、その日を目にすることもおぼつかないと思う。しかし、私が尊敬する人々が、人生志半ばで息を引き取ったことを思うと、それも善しとしている自分を確認する。

これまで、腰を入れて書いた本は売れたことがないので、やや不安が残るが、今回の本は読者に通じることを確信している。

その先の出版企画も「雨あられ」であるが、文科省とマスコミに白眼視される筆者としては、「いじめと自殺をなくす方法」を緊急出版したい思いもある。バカを自認する自分から見て、政権トップがかくも愚かな現状を見て、いかんともしがたい気分を禁じ得ない。しかし、母に言わせれば、私は、「根っからの楽観主義者」だそうである。家人が起きて来たので、そろそろ寝床に入って眠ることにする。お休みなさい。あと30分で午前7時である。自己解放のための文書を読者諸兄に読ませることに失笑を禁じ得ない。