ブイネット教育相談事務所


2007-09-07 雨当たり

_ 雨当たり

これと言って特定の理由はない。ただ諸々のことへの疲れが集積し、神経が衰弱気味なのである。

_ マキの巨木。抱きつくだけで、まるで樹上に上がったかのような気分にさせる。

最もあるべきところに最もあるべきように残った、とある神社境内の樹齢千二百年の杉の超大木。上からの「雨道」と、下からのまるで時が経つより早いその立ちっぷり。その成長ぶりには「音」がある。見上げる青天には、梢高く、まるで雲のように枝が、生い広がっている。そして‥…。

大陸東岸温帯モンスーン気候。

目が覚めると全裸で気絶していた。仰向けである。

気がついたのは、雨が頬と胸を打ったからである。

動きたくなかった。体の力が完全に抜けていた。

周囲に人の気配はない。

雨は冷たくなかった。むしろ台風が運んで生暖かかった。

雨に全身を打たれることは、言葉にはできないが、「快感」であった。

天は願わずとも、思いのままに雨を降らしている。

ますます強くなる雨の中、いよいよそのまま動かないままでいると、やがて自分が死体になっているような気がしてくる。幽体離脱映像を上空から送ることも可能であろう。

頭の中でいろいろなものが像をなそうとしてはそうはならないで消えていく。そんな感じだ。

鼻からの呼吸数をヒクヒクと増やして、さらにより深い瞑想状態に念じ入る。

その顔を、全身を、情け容赦なく、大粒の雨が叩きつける。

空気中で溺れそうになりそうな大雨の中、眼前の、水しぶきを上げる露天風呂の水面は、まるで沸騰しているみたいに高速で波立っていた。