2005-05-16 「クールベ展」
_ 友人に誘われて、三鷹駅南口の市民美術館で「クールベ展」を見た。ガラガラである。ゆっくりと堪能することができた。最近鬱屈していた心が洗われる思いであった。 筆者は19世紀フランス文化に強い関心があるものである。その理由は、筆者最大信心の文豪バルザックがこの時代を描いた作家であるからだろう。また、この時代は、今日の飽食の日本社会を写し出す鏡としても最適である。 グスタフ・クールベは1819年生まれ、中西部スイス国境近くのオルナンの出身である。自己流の作家で、キャンパスを室外に移し、写実画家の大御所として活躍した。詩人ボードレールとも親交が深かった。反教条主義であり、アタマの硬いカトリック側から度々作風を批判された。 筆者は、初めてルーブルで彼の大作に出逢った衝撃を忘れられない。それはワナにかかった鹿の絵とオルレリアンの葬儀の絵と画家のアトリエの絵だった。「こんなにも観るということに徹底するのが画家と言うものなのか」。それがその時の感想であった。 その後機会がある度にこの作家の作品に親しんで来た。今回その作品を鑑賞すると、その絵の背後に印象派のマネが見える、モネが見える、そしてセザンヌが見える。我国で愛される印象派の絵画は、この作家の影響なしには語れない。 作家の年譜を見て笑ってしまった。クールベは、1871年、パリコンミューンに参加して、ナポレオン記念碑を破壊したかどで逮捕・投獄され、政府に32万フランの損害賠償を要求されている。 裕福ではなくとも、素晴らしい作品群を生み出した気骨の作家に、まるで靖国神社を公式訪問する我国首相と同じ心情を禁じ得なかった。 お暇のある方に是非訪問をお勧めしたい。
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