ブイネット教育相談事務所


2007-08-06 SEOUL紀行ー連載第24回

_ SEOUL紀行ー連載第24回

サイン会は、時間で切ってもらうことにしたが、すごい人である。みな子どもの教育に熱心なお母さんばかりである。彼らの多くはハングルしか知らない。つまり漢字が読めない。私はハングルは書けない。すると、購入者は、子どもの漢字名入りサインを求める。日本では見られない漢字もある。急いでも時間がかかる。私はソさんに、「今並んでいる人は全員引き受ける。」と伝えて急ぐ。親からもらった名前をこんなに外国人のために書くのはどう考えても不思議である。私はどうしてこんなことになっているのであろうか。私の手

が名前を書くところを携帯電話で撮影する人が多いのを面白いと思った。

列の中に何と同時通訳者のキムさんがいた。笑顔である。

「今日はどうでしたか?」

「良かったです。でもまだちょっと速いと思います。講演の内容が良くて私の参考になりました。」

「良かった。今日はお疲れさまでした。カムサムニーダ。」

彼女は既婚だがまだ子どもはいないのだそうだ。

本が売れたからか、講演が良かったからか、出版社の人はみな「良かった」と口にする。

「先生、本当に良いお話でした。」

と、ソさんも言う。

実はほとんど準備をしていなかったので、結構冷や汗ものだったのである。訂正が可能な書くことを職業にする身からすると、訂正不可能なしゃべることはより難しいことに思われるのである。文章もそうだが、講演も、まだまだ自分の納得できる領域まで能力が至っていない。多くの人に喜んでいただけるのであれば、もっと上手くなる努力をするべきと思う。

雨はほぼ降っていないに等しいがやっぱり若干降っている。時折強くなることもある。薄茶のスーツのリーさんが、降りて来て、ドアを開けてくれようとするが、自分で開けて勝手に乗り込む。

仕事は全て終了。今日はこれから、サンケイ新聞論説委員、ソウル支局長の黒田勝弘氏と昼食。その後、インサドンなどで買い物予定。帰りはJAL8834便で、20:10金浦発。