2009-02-20 秋風
_ 秋風
最近いろいろなことに飽き始めて来た。
そもそも、あらゆることに関する自分の飽きっぽさが他人をはるかに凌いでいるという自覚があるからこそ、いかにして飽きないでいるか、すなわちできるだけオモロいことを追求し、ワンパターンにならないように留意して来たつもりである。つまり、私の身の回りにあることは飽きないことばかりであるはずなのである。
しかし、世の中飽きずにやり続けられることは意外と限られる。だから我々は今やっていることにいつしか必ず飽きる。我々は情報に飽き、仕事に飽き、友達に飽き、恋人に飽き、女房に飽き(飽きられ)、勉強に飽き、趣味に飽き、遊びに飽き、しまいには自分にまで飽きそうになる。あきれられるべきことである。
一年で一番快適で過ごし易いのは何と言っても秋であろう。実は清少納言もそう思っていたに違いない。しかし、それを「アキ」という。autumnやfallの深い感じはなく、まるで「終わり」とでも言っているようである。春は惜しむが、秋は終わっちゃうのである。
その飽きが来た。
問題は、情熱を失ったのではなく、これまで対象して来たはずの多くの事柄に好奇心が持てなくなることである。しかもその中には意外と長く続けて来たものがまま含まれる。すると退屈が生まれる。
しかも、これが忙しくてヒマのない生活の中で起こるのである。
これは我が人生上、女房以外にもっとも恐れるものなので、即座に退治しなければならない。そして、人類発案したもっとも崇高なヒマつぶし、つまり、「哲学」を始めるのである。こういうときは、自分が相手であるから最初は「直球」にする。
Dー最近いろいろなことに飽きるのはなぜか?
*記号Dについては、この度文庫本化が決まった『中学入試国語記述のコツのコツ』を参照して下さい。
このダイアローグの答えは、いかにも無責任で、ここには書きたくないことであった。
―それは世の中がオモロくないから。
そうかもしれない。G7記者会見で中川が記者団やカメラに向かってゲロをぶちまけるなんてことが起こればそれはオモロいが、そんなことは決して起こらない。
いやそれは冗談だ。メディアや新聞が面白くないことが原因の可能性はある。
もう一度、今度は関西弁でやってみよう。
D−最近いろんなことをオモロないと感じるのはなんでやろか?
この答えもヒドかった。
―歳とったんとちゃう
本当は東北弁でもやってみたいが、これはできないので、インチキ長崎弁でやってみようとする。
D―最近いろなことをオモロない思うんはドナイシテバッテバイ?
―そいが普通タイ。いい年して遊びたがるのはアホのすることタイ。
標準語しか知らない我が身が恨めしい。英語でやってみよう。
D―Why do I get bored with many things these days?
―Because you’re stupid.
長崎弁と同じ答えである。
ダイアローグにも飽きて来た。
私はやはり、政治や社会のトップ層がバカすぎることがメディアを通じて確認され続けていることが大きいと思われてならない。
*28日西荻ホビット村(電話03−3332―1187)で『超音読法―カタカムナ音読会』