ブイネット教育相談事務所


2009-05-15 ドロップス

_ ドロップス

たまには「抽象構成」で書いてみよう。

先ず強くダイアローグする。

D―最近何か気になることは?

するとこの答えは、

「I- podチャリンコねーちゃん」である。

以下アタマに浮かぶことを片っ端からメモ化する。

歌唄いオバさん

雨中傘I-podタバコ兄ちゃん

I- pod犬の散歩ねーちゃん

右左ルール

情動的な女性はムードに弱い

知性的な男は退屈に耐えられない

D―とどのつまり自分の言いたいことは何なのか?

「ムードに酔っている時間が多すぎる女はバカである」

「受動的な娯楽に多くの時間を費やす男はバカである」

このくらいでいいか。ではこれの順番を代えながら適当に書き流してみよう。その上で、読み返して部分を修正する。

     *

私は電車には月に1回くらいしか乗らないが自転車には毎日乗っている人間である。そして気がつくが、私が昔覚えた、人は右側、車や自転車は左側というルールはもう過去のものになっているようだ。これは男性より女性の方がその傾向が強いと思う。

やや高速で道路左側を走っていると、向こうからこちらと同じ側を走る女の人の自転車が近づいて来る。当然こちらは端側によけようとすると、相手も堂々とそちらへ舵を取る。諦めて道路中より右側へ避ける。ぶつからないが、スピードを下げる必要がある。こうした人たちが意に反して悪びれずに不満そうな顔をする人が多いところをみると、自転車と歩く側が同じだと思っているらしいことが分る。まあ割とボケっとしているのは女性一般の特性であるし、彼女たちが男と異なりごく周囲しか見ていないことも知っている。またボーッとできない我が身を嗤うこともあるし、とかく身の回りのことには注意が行き届かないという自覚もあるから仕方がない。。

左手横道からからニョロ〜ンと道路を横切る形で若い女性の自転車が飛び出す。ブレーキをかけた上で追い越そうとするが、彼女は道路中央よりやや右寄りを通行しているので、ルール通り右側から追い抜くことができない。私は「ルール」より「臨機応変」を好むタイプなので、左側から抜こうとすると、これがまっすぐに走らずにヨロヨロ走るので躊躇しなければならない。追い越す時に見ると、耳にイヤホンをつけ極めて狭い自分の世界内にいるのが分る。聴覚だけではなく、視覚まで弱まるのは、ムードに入っているからである。私も過去に女性がムードにはまるのを冷静に利用してことを導いたことがある。もちろん手痛い報復を受けて今日に至っている。

情動的な女性はムードに弱い。

知性的な男は退屈に耐えられない。

それにしても最近ipodチャリンコネーちゃんが多過ぎる。マクドナルドやディズニーランド同様、アップルも儲かっている。つまり本当は凄くやりたいことではなくても、世間で流行っているから自分も購入するという資本主義社会を支える人たちなのであろう。

こうなって来るとだんだん凄いのが現れるところが都市の特徴だ。今や電車の中は化粧どころか靴下の履き替えまでもする若い女性も観察される。満員電車でつり革につかまって弁当を食べる背広姿もいる。驚くには値しない。

自転車で犬の散歩をする人がいる。夕方若い女性が自転車で犬の散歩をしているのに出遭った。まあ短ければ都合が悪いのは分るが、通行の多い道で2メートルくらいある紐をつけている。自分が中央で犬が右側。私が左から抜こうとするが、急に犬ごとヨロヨロ左へ寄ったりする。周囲が全く見えていないようだ。私がブレーキをかけて停車しても顔も上げない。そしてその耳にはもちろんipodがある。そもそもよほど近づかなければ視覚確認しない上に周囲の音が聴こえないのであるから当然である。なんで自転車で犬の散歩をしながら音楽を聞くのかわけが分からない。このネーちゃんの「飼い主」にネーちゃんに鎖をつけてコントロールして欲しい。

Ipodチャリンコネーちゃんのの共通点の一つに、たとえば、人と接触しようとした場合や、人が道を譲ったりした場合に、そこに声を出すことも何らかの目線の反応も返さないということがある。これは無視しているのではなく自分の世界に入っているからと観察される。救いは鈍いので自転車の速度も遅いことであろうか。事故が起きないのはそのせいかもしれない。タクシーの運転手はしょっちゅう危ない思いをすると言う。

兄ちゃんもなかなか凄い。先日まともな雨の中、車で、やや広いが電柱の多い一方通行路を走っていると、前方左側に傘を差してやや早めで走るオンボロ自転車がある。軽くクラクションを叩いても車が近づくことに全然気を配らないので、スピードを落としておそるおそる追い抜くと、これが痩身の浪人生風の、起き抜けで寝不足顔のさえないメガネ兄ちゃんで、やっぱりipodをつけている。漕ぐリズムからすると、何かロックなどの大音響音楽を聴いているらしい。メガネに溜まりつつある雨の雫からすると前方もよく見えないで人生ヤケクソになっているようにも見える。

しかし、やはり女の人より男がスゴいのは、この男がこの上でタバコを口にくわえていたところである。ひょっとするとこれから駅のトイレで缶コーヒー飲みながらウンコして朝刊読むのかもしれない。それともその時間もないのかもしれない。ともあれ、左手ハンドル、右手傘、両足ペダルに、耳にipodで目は雨粒メガネ、そして口にタバコ!。この男には「ムード」はない。「状況」だけがある。それにしても、これほど多くのことを同時にこなす人は頭の中でいったい何をしているのだろう。ともあれ、ひょっとしてサルでもできそうなところが不思議であった。

ムードに浸っている時間が多すぎる女はバカなことが多い。受動的な娯楽に多くの時間を費やす男はバカに決まっている。

では自転車に乗っているときは何をするべきか。私は書くことか話すことの腹案を練るか、カタカムナの音読をする。しかしこれは順調に走っているときで、たいていは周囲の景色や人間を観察している。サングラスが不可欠のゆえんである。しかし、サングラスをしてカタカムナを音読しながら自転車で走れば、これに気づいた人は「不審者」と見なしてくる。小さい声でやることが多くなる。夏にはこれに麦わら帽子が加わるので、もはや他人には完全に変態にしか見えないらしい。

いつもの電柱一方通行路。いつもの横道侵入徐行しないミラー見ないオバさんチャリ。危うくぶつかりそうで急ブレーキをかけて右へよけても相手は振り向きもしない。そのままヨタヨタと右へと思えばやっぱり左に寄る。気配は完全自己世界没入モード。ははあいつものipodだなと思って確認すると、これがなかった。ただオバさんは小さい声で歌を歌っていた。私はその歌を知っていた。その歌は、

♫昔 泣き虫神様が 

朝焼け見て泣いて 夕焼け見て泣いて

真っ赤な涙がポローン

黄色い涙がポローン

それが世界中に散らばって

今ではドロップス

というのであった。

これが許せる気分にさせるのはなんでであろうか。