2009-06-08
_ 海水浴
目下理由を分析中であるが、最近私の手を離れた生徒たちが、新たに進学した学校で「ボス」になっていることが多いことが判明した。同時に、女の子に人気がある子が多い。それどころか女の子のお母さんに評判がいいケースが多いのである。
女の子にモテている男子生徒を尋問した。
「キミはなぜ自分が女子に人気があると思うか?」
―それは多分、先生に言われたことを実行したからです。
「ハ?」
―ほら例の、女の子と話すときは、できるだけ体の動きを止めて相手を受け入れる態勢で向かい合うというヤツです。
学校でボスになっている男子生徒に聞いた。
「どうしてキミがボスなのだ?」
―それは周囲を楽しませるからです。
「たとえば?」
生徒の話によると、彼の学校の現代社会の教師は強面で体格が良いカーリーヘアー中年男で、授業のたびになんらかの教訓を垂れるそうだ。ある日いつものように、
「今日は欲についての話をする。そこのキミ、犬と人間の欲の違いは何か言ってみよ。」
と彼を指して質問した。彼は少しも間を置かずに即答した。
「海水浴です」
この答えに教室中が大爆笑になった。先生もこらえ切れなくなって口を開けてのぞけってデカい腹を揺すりながら、そして辛うじてこう言った。
「ほ、他には?」
今度も彼は即座に返答する。
「日光浴です」
もう一度クラスが爆笑になるのを遮って、すかさず教師が叫んだ。
「ダメ!それなら犬もする」
彼が言うには、教師ががそう答えられるように二番目の答えを用意したそうだ。
―先生も言っていたように、人を最後まで追いつめるのは良くないし必要もない。
驚くべきことは、彼がこういった答えの想起や思考を信じられないような高速短時間でするところである。「条件反射的」と言っても良い。
どうも私に習った生徒は言語コミュニケーション力が加速されるらしい。その結果周囲のものよりものが見えた状態になるらしい。言語力と観察力の関係?
最後になるが、モテる男子生徒がいる一方で、女嫌いの一軍もいる。彼らも異常に言語コミュニケーションに優れるが、一様に「女子はウザイ」と言う。「『私って可愛いでしょ』って急に人に聞いてくるのオカシクナイ?『鏡に聞けば』って答えちゃうよ。」これも私のせいなのか。
―松永先生に教えていただいたおかげで、音読も作文も上手くなり国語の成績も上がって本当にありがたいんですが、最近言い返すのが上手くなってやりにくくって困っているんですよ。しかも、何と申しましょうか、あの、子どもが反論するときの口の形が、その、松永先生そっくりなんですよ。それで‥…、
他にもまだまだあるが、なんだか書いているうちにアタマが痛くなって来たのでこれでやめる。