2006-08-04 現状学校教育実情<連載8>
_ 現状学校教育実情<連載8>
最近2年前に大学医学部に進学した生徒がやって来た。最初黙って入って来たのを見たとき見覚えのない顔だったので、別の先生の生徒さんかと思った。授業に集中していたので席も立たなかった。
さて授業が終わって近寄って来た彼を見てやっと分った。どえらい変わりようでる。まずえらく老けた。まだ二十歳そこそこなのに20代後半に見える。学生というより勤め人の顔である。
「どうした。ものすごく勉強しているのか?」
「はあまあ、毎週のようにテストはあるし、覚えなければならないことは膨大だし、はっきり言って、受験の時よりはるかに勉強時間が長いですよ。」
「えらいじゃないか。大学へ入って猛勉強する。それこそが立派な学生というものだ。」
「でもねえ、ただ覚えるだけでなんか意味ないんですよ。それも本当にハンパじゃない量ですよ。考えているヒマは一切なし。ただただひたすらに覚える。」
「へ〜最近の医学部はいよいよ暗記なのかね」
「何せ国家試験合格率向上が目標ですから、医者の勉強というより国家試験のための予備校に通っているようなもんですよ。テストの成績が悪いと国家試験受けさせてくれないですからね、うちの大学は。とにかくあまりに覚えることが膨大で、毎週テストが終わると一度前の週に入れたことを完全に忘れなければ次が入れられないほどですよ。同級生たちとは、これって医者になる勉強?とか話しているんですけれどもね。国家試験はマークですからね。結局暗記になりますよね。」
「でもキミの顔はちょっと健康的ではないぜ。理科系の研究者のキチガイ顔でもないし。なんかスポーツでも思いっきりやったら。」
「もう考えてあります。今日から夏休みなので、実家に帰って、祖父の畑で土に触れます。土!それしかないですよ。今の僕を癒してくれるのは。」
最後のところが妙に私の生徒らしかった。