2006-08-23 最近私事情2
_ 最近私事情2
「カシミロンだ!」
夜中に突然父が叫ぶ。
「カシミロンは捨てなければならない。お前この布団を捨てて来い。」
「カシミロンて何のこと?」
「旭化成のカシミロンだ。」
何か夢を見て興奮したらしい。睡眠薬で錯乱するのだ。
「何かコクのあるものが食べたい。アンパンを買って来い。」
また別の夜中。
「パンダだ!」
「えっ?パンダがどうしたの?」
「パンダにやられる。そこら中パンダだらけだ。」
「パンダじゃなくてネズミじゃあないの?」
「いや違う。パンダだ。パンダに決まっているじゃあないか。お前には分らないのか。」
こういう日は30分おきに起こされる。ベッドの上で紙おむつを脱いで小便をしたりもする。朝まで死にそうな思いで対処する。全然眠れない。
「もうオレは生きているのか死んでいるのか分らない。」
「我思うゆえに我ありって言うじゃあないか。そう思うのは意識がある証拠さ。」
錯乱した病人に冗談を言っても始まらない。
こうしてフラフラになってまた一日が経つ。ところが明くる夜は、病人も私も疲れ切っていて、一度も目を覚まさずに朝まで寝てしまう。ついに原稿は全く書けなくなった。
今日から退院させて自宅で看病することにする。本人が自宅で死にたいと言って聞かない。こちらとすれば、実家ならばコンピューターが使えるので好都合。
いや、母が疲れ果てたのもよく分かる。それにしても、子どもがいない人は将来誰に面倒を見てもらうつもりなのか。この相手は肉親にしかできないのではないか。少子高齢化社会の行く末を恐ろしく思う。
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