2007-05-12 チョッキン
_ チョッキン
急に夏になって、夏用のジャケットですら袖を通すのが嫌なほどだ。
しかし、次々と訪問者が訪れる。生徒、クライアント、出版編集者、で一杯のところに、ついに、「一時間でも、もしそれができなければ電話でもかまいません」と言って、雑誌の取材の申し込みがある。もちろん本以外の執筆依頼もある。
そもそも授業の予習はしないタイプだが、さすがに講演の準備はして来た。だが、そのヒマはない。昨夜は夢の中で講演の準備をしていて、朝起きるとだいたい考えがまとまっているというから、便利というべきか、いかに切羽詰まっていると言うべきか。
大学生たちが書いて来た文章の添削をしなければならない。彼らを招待するブログを構築して、案内状を出さなければならない。20日の音読会のテキストも作らなければならない。生徒数を減らそうと、他の先生に紹介しようとすれば、これまたそのための時間を設定しなければならない。床屋に行く暇がない。家族と話す暇は全くない。そこへ雑誌のインタビュー用の大量FAXが届く。
最近は、私の本を読んで、自分の子育てに失敗したことを悔やむ相談客が多い。涙ながらに話すこの人たちの話を聞けば、男親が全く無知か無協力であることが分る。医者、歯医者、銀行員、みな超高学歴である。「だから、そんな男にならないように育てることをこそ、勉強よりも優先させるべきではないか」と答える。
昨日は、小6の男子生徒に海城中14年度第二回の国語問題の解説をした。この生徒は、小5の時から、「塾に行かないで、松永先生のところに月に2回だけ1時間でもいいから行かせて」と親に頼んで通って来た可愛い男の子で、それだけの学習でメキメキ成績が上がって、塾に通っている子がアホらしくなるような偏差値を得るようになってしまった。この4月から塾へ通い始めると先生に、「キミはセンスが良い」とほめられまくりと言うから可笑しい。
海城問題は、高校生らしき男女生徒が次々にスッポンポンになって湖に飛び込むという話で、開成落ちの頭コチコチ生徒が受けると目ん玉が飛び出るような話なのである。飛び込んだ時に、急所と肛門を打つというような表現があり、二人でゲラゲラ笑いながらやっていると、登場人物の一人に「阿部貞子」というのがおり、「オジさんはこの名前にも笑いを禁じ得ない」と口にすると、グループサウンズも知らないこの生徒が、何と、「えっ、これってあれでしょ」と手ではさみを作ってチョッキンする仕草をする。真面目で奥手のこの生徒がそんなことを知っているとは驚いたが、彼は、「なんでアソコをチョッキンするの?」と真顔で聞くから、仕方がないから説明した。「それはね、恋人とセックスするうちに相手が死んでしまったから、アソコを切って逃げちゃったんだよ」と言うと、「どうしてアソコを切っちゃうの?」と聞くから、「キミだったら愛する人が死んだら形見に何をとっちゃうと思う?」と聞くと、「骨かなあ」というので、「骨なんか肉を切らなきゃ取れないじゃあないか。普通髪の毛とかなんだよ。死体を損傷するのは罪なんだよ」というと、まさかこの生徒の父親がそうなのではあるまいが、「でも、もしハゲだったらどうするの?」と来た。これには爆笑で、他のボックスの授業の邪魔になることこの上ないことだった。
忙しいが、愉しいこともある。こういう生徒には麻布に行ってもらおう。