2007-05-30 SEOUL紀行ー連載第5回
_ SEOUL紀行ー連載第5回
チェックインした時は、11時を回っていた。シングルの部屋は申し分なく、私はカバンの中のシャツと下着を引き出しに移し、すぐにロビーへ戻った。ソさんには、私が飲まないと眠れないことを告げてある。
しかし、韓国の夜は意外と早かった。ホテル周辺には開いている店がほとんどなかった。車に乗って移動することも提案されたが、近くで軽く飲める所を捜すことにした。
一軒だけ、地下の店が開いていた。機内食は少なかったので、夕食を採っていない我々は空腹だった。機内食は、最終便らしく、慎ましいもので、御飯とタラの大きな切り身、これには赤くて辛い味がついていた。我々はビールとピーナッツをお代わりした。羽田で夕食を食べる暇がなかったので、ソーセージの盛り合わせと、何か辛そうな魚介類の炒め物を注文した。
ここで困ったのが、この店には、焼酎というものがなかったことである。韓国人は焼酎をあまり飲まないらしい。ブランデーもなかった。仕方がないのでジャックダニエルと氷とソーダを注文した。しかし、「ソーダ」は「サイダー」で甘かった。
我々は水割りを飲むことにした。実は私はウイスキーは翌日に残るので普段滅多に口にしないのである。
ソーセージは、フランクフルトの大きさのものが5本に、野菜や惣菜がついた大皿のものだった。一口食べて、私は言った。
「これは小麦粉が沢山入っている。」
申し訳ないが、不味くて食べられない。田中氏も食べない。
もう一方の野菜炒めのようなものは、魚介類がふんだんに入ったものだった。他にスナック菓子がついたが、私はそれも食べる習慣がない。
やせているくせに大食漢の田中氏が、「辛い、辛い」と言ってもりもり食べる。彼は私同様、新陳代謝が良い辛い物好きで、とたんに顔は汗まみれとなる。それでも、「これは辛いや。」と言って、もりもり食べる。私より10近く若い彼は、食事をしっかりとる必要があるのである。
明日の打ち合わせをする。
10時半からプレスインタビュー。その後、記者たちと昼食会。講演会は夜7時なので、その間は市内観光と決定した。しかし、実は、講演会で話すことをほとんど考えていないのである。
ソさんが私に尋ねる。
「どこか行きたい所がありますか?」
これにはあらかじめ用意してあった答えを伝えた。
「朝鮮総督府のあった景福宮と戦没者墓地。」