ブイネット教育相談事務所


2007-05-23 SEOUL紀行

_ SEOUL紀行-連載第2回

どうするべきか。見ず知らずの、しかも外国の人から、突然、「自分の国へ来てくれ」と求められる。国内ならともかく、国外へ一人で行くのは、今の自分の立場上、やや危険でもある。本を作った扶桑社田中氏に相談してみた。この男は、仕事に楽しんで打ち込んで、同時に成長し続けるタイプの、極めて常識的な人物である。「常識的」と言うよりも、いつも「真面目」で「本気」と言うのが相応しい。

「あの、韓国で出版された本って売れているの?韓国へ来て講演してくれって言うんだけど、どう思う。」

「韓国からですか。それって、どなたからの依頼なんですか?条件とかの提示はあるんですか?」

「それがよく分からないんだよ。多分、訳して出版した出版社の編集者なんだけれども、向こうは日本語がそうは達者じゃあないみたいで、要領を得ないんだよね。」

「分りました。しかし、実は間に入ったエイジェンシーとの契約で、こういったことはエイジェンシーを通してすることになっているんですよね。調べてみますからちょっとお待ち下さい。」

しばらくして、再度通話した田中氏は語った。

「エイジェントに問い合わせました。先生、バカ売れですよ。ネット出版では6位、書店売り上げでも上位に食い込んでいます。」

「どうして日本人の本が韓国でそんなに売れるの?韓国は日本を嫌っているんじゃあないの?」

「どうしてでしょうね。そんなこと、それこそあっちに行ってみなければ分らないんじゃあないんですか。」

「そうかあ。行ってみようかなあ。でも、僕、貴兄もご存知の通り、全く時間がない状態なんだよね。行くとしても、

せいぜい1泊か2泊しかできないよ。」

仕事一途の彼は、執筆者に対して「同情」することはまずない。

「いつだったら可能でしょうか?向こうに問い合わせてみましょう。」

「水曜日は大学出向。土日は先の先まで一杯。だからできるとすれば、月曜火曜か木曜金曜しかないな。5月中旬頃なら空けられるかもね。それとね。一つお願いがあるのだが、もし行くとなったら同行してもらえないか?そうすると安心だし、とても助かるんだけどな。」

「かまいませんが、私からは言えませんので、直接上司に電話してもらえますか?」

「わかった。」

すぐに彼の上司のK女史に電話すると、二つ返事で承諾を得ることができた。