2008-01-15 枯れ葉
_ 枯れ葉
セイタカアワダチソウの次は、「枯れ葉」である。
渋谷東急本店西側、観世方面郵便局の先の崖下を左に曲がったところにあるJM GALLERY(火〜日/12:00〜18:00、27日まで)で、『川村忠晴 自然 光 影のオブジェ展』を見た。
小さなライトが埋められたケースの中で、色とりどりの秋の枯れ葉が天然アート世界を繰り広げる。周囲には、枯れ枝が人像に昇華して舞い踊る。
非常に美しい。
個人というよりも、レストランやブティック、それに人が多いホテルロビーなどにあったら良いだろう。ここには何気なく通りかかる人を素通りさせない何かがある。
この作家は、自然を自己の感受性に忠実に対象化するというアートを試みて、既に充分な期間を経て活動しているのであるが、そこには、「きれいな自然を演出すること以上にきれいなことは、まずあり得ない」という透徹した人間謙虚な哲学が現象するのである。造形以前に、自然と対峙することが「アート」なのだ。
造形作家の川村の目からすれば、秋の落ち葉と木々の陰影は、芸術作品以上に感受する連想の活性化をもたらすと映るのであるか。ここには、セザンヌが対象としての自然に対して自らの「感受性」を高めて適用しようとする姿勢のポストモダンの一つがある。考えてみれば、そもそも芸術とは、感受した自然の「逆噴射」であった。
人は「奇跡」と呼ぶが、我が中に、子どもの感性が自然の美に接した時の純粋な感動体験を年を経れば経るほど深めていく感受性のすばらしさ。しかもこの人は、男性なのである。
自然と造形の一体化。自然が芸術を模倣するワイルドの極致。
私はこれを楽しむ女性を「sexy」だと思った。
_ 冬枯れに もののあはれが もえ上がり (冗)
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