ブイネット教育相談事務所


2008-11-25 偏差値詐欺

_ 偏差値詐欺

受験における偏差値は、ウルトラできるものがその下を受験する場合、もしくは自己偏差値よりも一段階下を受験する時にしか目安にならない。合格の可能性60%の偏差値とは何たることか、その偏差値では約半分しか入っていないということではないか。80%とはスゲエ、でも20%はどうして落ちちゃうの。こうなると、公開模擬試験による偏差値データはあまりあてにならないことになろう。

どうしてこんなことになるのか。

それは公開模擬試験が、多くの層のものに同一の問題を解かせるものだからである。

開成志望の子どもに、出るわけがない基本問題や、選択肢だけの国語問題なぞやらせても意味がない。受けるなら、難関校向け公開模試か、開成オープンのようなものであろう。ところがこれがまた怪しい。前者は開成以外の学校の受験者も受けるので、開成用の試験にはなっていない。後者は、忙しい中雑に作られた採点し易い出題が多くて質が悪い。開成や麻布の先生が心を込めて年に一度作ったものに遥か及ばない。

偏差値である程度の「学力」は測れても「合否」は測かれない。我々は心に刻むべきである。このことを敢えて口に出さないレトリックによって進学塾は家庭をダマす。小学校低学年の偏差値になんぼの意味があるか。それは生え始めたヒマワリの背の高さの差を細分してチェックしていると同様である。ほとんど営業レトリック用と言って良い。

合否は実際入学試験の出来不出来で決まる。

これに最も大切なのは、精神的肉体的コンディションである。睡眠バッチリストレスゼロ。ヤル気満々、ここでの大勝負にすべてを賭けようという高揚感。同時に絶対にミスをしないという緊張感と自己抑制。周りはおおむね、わざわざ寒い中、他人の合格を決定するために参加しているマザコン連中。これに受かれば一発逆転、いざ乾坤一擲の勝負!

こう仕上がっていれば、偏差値は10くらい簡単にひっくり返る。つまり偏差値は関係ない。

しかし、このためには、受験校の過去問題の完全研究と対策練習が欠かせない。たとえば、一校あたり過去十年分これをやるとすると、4教科1年分まあ最低10時間はかかるから100時間かかることになる。これを2で割ると50。つまり一日2時間で2ヶ月近くかかることになる。3校分やれば半年かかってしまう。塾へ通う子どもにはこれをする時間はとてもないだろう。だから私は、2学期からは塾へ通わずにじっくりと過去問対策に専念しよう、と提言して来た。今、塾の勉強に疲れた覇気のない少年がいる。聞けば、「塾が受験直前までやるなと言うので、過去問はやったことがない」と言う。また塾では、過去問解説は行わないそうだ。つまり、通う意味が全くない。ボロボロになるほど疲れて通っても意味がないことを告げるのは辛い。同時に、自分たちの「営業」のために、特定校の問題研究の指導を行わず、最後まで無意味な冬期講習を受けさせ、通学が困難な第2志望の1月受験を勧める方針に、憤りを禁じ得ない。塾のすべてが悪いとは言わない。しかし、受験の事情がよく分からないご家庭を、お客様のご要望ですからとダマし続けるのはいただけない。