2009-01-20 「受験振り込め詐欺」
_ 「受験振り込め詐欺」
なぜか1月入試の埼玉県の中高一貫私立校と進学塾と深い結びつきがあることは、多くの人が良くご存知のことであろう。生き残りたい私立、生徒の受け口を増やしたい進学塾。結果的に塾が特進科の設立を勧め、問題作成から「偏差値操作」に関するまできめ細かく指導を行う。試験も一校あたり5回も行ったりする。
「特進科」2回に、一般受験3回。最初の特進科は「25募集」と打って、「滑り止め校」であるにもかかわらず、合格者数は「27」。これは、偏差値つり上げを目論む作戦である。合格者の中で入学するものは10%もいないだろう。「相変わらず良うやるよ」と思っていると、特進科受験後二〜三日して学校から電話がかかって来て、「繰り上げ合格したから入学を希望する場合は、明日までに入学金40万を振り込んでくれ」と言われる。
これは明らかにヘンである。より上級の私立を目指していたが運悪くそれに落ちたものを拾おうとするのが「滑り止め校」の戦術であるはずだから、合格者を多く出すのが当然なのに、試験を5回も行ってさらに「確約金」を取ろうとする。この学校は入学手続きを2月4日まで猶予する決まりを設けているが、同時に「一度いただいた入学金は返さない」と明記してもいる。
多方式で多くのお客を集める受験をして大きな利潤を上げている教育機関の代表は、東の横綱早稲田大学と西の横綱立命館大学であろう。まあ他の大学も大して変わらないが、単なる紙に書く記号主体問題で、予備校模試の10倍近い金額を集めるのは「無恥」であるが、さらにそれを何回にも分けて一回あたり3万円以上取るのは「悪辣」である。1大学5学部4方式で受ければ、受験しただけでざっと50万が消える計算になる。どう考えても、最初に5万円払ったら何回でも受けられる仕組みに変えるべきであろう。しかしこれも、50万人以上を集めるマークシート方式で、3教科受験すると1万8千円のセンター試験をお上がやって「お手本」を示すから文句の言いようがない。
ともあれ、上がやれば下もやる。しかし、子どもたちの多くの時間と労力を奪って、「就活」では決してあり得ない高額の受験料を何回にも分けて集めようとする。おまけに入学金を前倒しで払えと言って来る。未来の信頼のための「教育理念」よりスネ毛丸出しの「経営理念」を優先する。
私は、1月の中学入試を禁止して、2月下旬と3月上旬に限定するべきだと思う。
私立学校は、信頼のおける教育理念を提示することができなければ、中高一貫公立が一般化する中で生き残りをはかれないと思う。自分たちの学校経営のために公教育の場をズタズタにすることが平気であったしっぺ返しを受けるのである。