2007-06-29 SEOUL紀行ー連載第15回
_ SEOUL紀行ー連載第15回
5時過ぎにホテルに着いた。講演は7時からである。準備は全くしていない。ホテル近くの会場には6時半に入ることになっている。
「すいません。準備のために1時間ほど部屋にこもります。」
「では1時間後にロビーでお待ちしています。」
部屋で考えをまとめる。普段私は講演のために文章を書くことはない。おおよそのメモを作り、聴衆の反応に従って随時話すことを変えてしまう。私の座右の銘は、臨機応変、変幻自在、出前迅速である。
しかし、出国前、あまりに多忙だったので本当に何も考えてはいない。とは言うものの、以前に女性誌で袋綴じ特集した「子育て3択クイズ」を利用することになっているので、その前後の話を考えれば良い。韓国人気俳優が来日した時の「皆様今日は、ペヨンジュンです。よろしくお願いします」を、旅行本についている「すぐ使える旅の韓国語」を利用して作り、それを覚える。「皆さん」が出ていないので、「レディース&ジェントルマン」で逃げることにする。
「レディース&ジェントルマン。アンニョンハセオ。チョヌン マツナガノブフミ ハンミダ。チャルブタッカンミダ」
私は、覚えることは大の苦手なので結構手間取る。なかなかすらすらよどみなく言えない。何度も唱えていると、自分が韓国人になったような気がして吹き出しそうになる。
後は同時通訳の人に任せよう。演題は「男の子を伸ばす母親はここが違う」である。韓国の人に受け入れていただいてとても嬉しいとか、そうだ、景福宮と国民墓地に行って来たことも伝えよう。えーと、景福宮はキョンボクキン、あれあれ国民墓地は出てないぞ、キムさんに聞かなければならないな。
自己紹介に、日本の砂場遊びの考察、儒教倫理的土壌、少子化、日本の教育事情、親はどうすれば良いのかを語り、クイズの時間にする。それで、人生90年の哲学を語っておしまいにする。これで約90分で調整すれば良い。てなことをしていると、1時間経ってしまった。慌ただしいことこの上ない。