ブイネット教育相談事務所


2008-10-09 進学塾2学期

_ 進学塾2学期

二学期になっても相変わらず量を重視する塾の営業戦略教育で成績の停滞が見られる生徒たちに、「時間の無駄だから塾をやめて自分で勉強せよ」と言うと、「でも‥…」となる。

早稲アカの夏期合宿に参加した中3は、陶然とした顔で、「早稲アカはすごい!しかも大サービスで安い!」と言う。「すごい」と言わせるのでも大したものであるが、「安い!」と言わせるのは、なかなか味なことやるものである。

まあ中学生ならぬ小学生を洗脳することは容易きことだろう。

最近、「負傷者」が多いために進学塾を敬遠している父兄が多い。また小生のように、「中学受験でするべきことは、受験する合格最低点のクリアーあるのみ。そんなことよりもいかなる中学に入ってもやって行ける能力の育成が大切。」などと、「真言」を伝えるものもあるので、夏休み以降、各進学塾の「塾をやめさせない工夫」が数多く比較されてなかなか劇団のように面白い。

サピでは、「サピについてさえ来れば絶対志望校に合格する」と言うらしいが、この時、「ついてさえ来れば」は聴く側には聴こえないらしい。また、「もしやめたくなっても、共に努力する仲間を裏切る行為として、先生が親に言ってやめさせない」と言って、子どもに「諦め」の気持ちを起こさせることも定番であるらしい。この他にもいろいろあって、有名校に合格した優秀君を次々と登場させて、「サピの先生を信頼して最後までやり抜けば他の塾の生徒に負けることは絶対にあり得ない」と繰り返し言われるから、やめようがないそうである。サピでは教師に口答えや意見を言うものはまず皆無だそうである。「そんな雰囲気にない。ここ(V-net)はその全く逆です」。この劇団の電話攻勢はすごい。

しかし、いくらサピでも「絶対」はあり得ない。まずやり切れない課題を与えてそれができたもののみ絶対合格というのだから、能力があることを前提にすれば論理的には誤りではない。しかし、そもそもあまりに優秀か、仕事が好きな子どもにしかこなせる量ではない。サピαクラスへ通ってもおかしくならない子どもたちの多くは、「僕は全部やらないで適当に済ますの。親もそうしろって言うし。」と言うそうだ。こういった生徒はどこの塾に行っても変わりはないだろう。そうでない生徒は、あのもうすでに30代銀行マンのような顔になって通塾するのである。男にとって何より大切な「オモロさ」を捨てた彼らがこれからの女性を捕まえられない可能性は高いだろう。

小学生の自由時間を奪い過ぎることは、「倫理的」には誤りである。サピでは、芸術などの習い事も制限されるという。猛烈進学塾を信じる親に入れられて、自由時間をほとんど奪われて、「ある型」にはめようとしてはまりきれなかった子どもたちは、「負傷者」になる。つまり、中学以降の次の戦いができない。合否に関わらずこの危険性があるのに、営業をチェーン拡大化しつづけるのは、トップだけが儲かる早稲アカ魂と同様である。早稲アカ社長の早死は、海外資産を右翼に突き上げられて苦しんだことと無関係ではなかろう。

トップとその周辺だけが儲かるようにすることはマクドナルドと同じ考えである。ということは、お客はマクドナルドに満足する人たちだということになる。これが見事に重なると感心するのは私だけだろうか。

私はこれまで、「サピに通ったためにその後勉強が嫌いになった」という生徒に少なくとも10人以上遭っている。これは他塾に比べて圧倒的に多い数字であろう。志望校合格を果たした優秀君も言う。「はっきり言って、量があまりにも多過ぎ。あんなにやる必要全然ないじゃん」。

どう考えても、2学期以降はあまり熱心に塾に通わないで、自分でじっくりと入試問題に取り組むのが正しいと思うが。

受験には「忍術」が必要である。しかし、その忍術も自分でやるものである。全て学問は「受け身」ではなくて「自らやる心」がなければ、その本格的な成就はない。

今さら分り切ったことをつい「冗談」で書いてしまった。

「口直し」に、以下秋の猫額小景をよっこらしょ。

_ オクラホハ カワカムリ筒 デカくなり

_ ナスノ実ハ デカくなりつつ 垂レさがり

_ シシトウは シボんだママで カタさ増シ  (以上、冗兆)