ブイネット教育相談事務所


2009-04-02 一人旅

_ 一人旅

「次」が来ないようなので、その隙にその次を掲載する。(本ブログは、地方支社から寄せられたストックの中から、大変忸怩たることながら、それなりにオモロいものを選んで逐次掲載しているものである。通常マスメディアとは異なり、「ツイテコレナイビト」については、それなりに「変化球」にて自動「松殺」されるが、「観客」は大歓迎だが、もっとたくさんコメントせんかい!これはアタマが良くなるチャンスなのだよ。雅子さまとド嬢と鈍グリだけが賢くなってももはやしょうがあるまい。)

相変わらず花粉にやられているが、帰国以降休みなしで多くの教育環境設定相談を受けている。

内容は、成績不振、塾利用と受験について、といつもながらのものが中心だが、このところ、共稼ぎ家庭の一人っ子の教育相談が重なっている。また逆に、「お父さん仕事が忙し過ぎて子どもの教育を母親に任せっぱなしにして全く協力してくれない」というケースも同様に多い。

共稼ぎ家庭の苦しみ。それは、「収入」のために子どもが犠牲になってしまうことである。子どもより「収入」の確保が第一義になってしまうことに、子どもの方から本能的な反発が起こるのである。そもそも一人っ子に留まるのも共稼ぎであるからという理由のことも多い。特に両親の収入が多ければ多いほどこの傾向は強まる。収入が多いとは、私の仕事と同様、労働拘束時間が長いということである。最先端超合理性追求の「一流」企業に勤めていれば、土日は休みでも、毎日の労働時間は長く、またそこに通勤時間も加わるから、親自身の平常自由時間がほとんどなく、趣味と言えば読書やモニター画面になってしまう。子のための夕食を作らない人も意外と多い。元気で余裕のある人は、金曜夜から日曜夜まで家族でバケーションということもできるが、もし子どものスポーツクラブや塾の試験などがあればこうした「計画」も成り立たない。その多くは親のご両親との同居を選んでいるが、親が自分の相手をする時間が取れないことへの子どもの不満は思いのほか大きい。

「学校であったことをすぐにお母さんに話したいときなんか本当に困る。だいいち、家に帰った時に、お母さんに『お帰りなさい』と言われないのは子どもとしておもしろくない。特に小学校低学年のときは本当に辛かった。外へ出かける元気も出ない。お母さんとおばあちゃんは違う。お母さんでなければダメなんだ。いったいどうして僕を生んだのかななんて考えるときもある。」

「小2でサピへ入れられた。最初は楽しかったが、学年が上がって勉強がきつくなると気がついた。これは実は『保育園の代り』なのではないのか」。

一人の収入では生活が苦しく、二人だと収入は充分だが子どもに割く時間が取れない。年に一度リッチな海外旅行にも行かれるが、その一週間以外は働きずくめである。これで子どもが黙って塾に通い続けてくれれば問題はないが、学年が上がって家庭の補助が必要になる頃、子どもは塾通いを嫌うようになる。この問題の解決策と、もし受験を断念した場合の今後の教育方針についての相談がほとんどのケースである。

逆に、子どもが二人以上で母親が家にいて、父親がバリバリ稼いでいる家では、父親は仕事でヘトヘトで、夜遅く帰宅するとテレビと新聞とビールで、それが終わると倒れて寝てしまう。土日もゴロゴロしていることが多い。疲れ過ぎていて思い切って遊びに出かける気力もない。接待ゴルフには出かけるが。もちろん料理を作ってハウスキーピングして子どもの相手をし、奥さんに美容院に行く時間を与えるなんてことはできるはずもない。子どもの教育への相談や協力を求められると、「オレは仕事で忙しくて疲れているんだから、そんなことは家にいる君がやってくれ」と平気で父親らしからぬことも言ってしまう。私について言えば、この上、サービス業なので土日は仕事で一杯で家族で出かけたことなどないからもっとヒドいが、通勤時間がほとんどないので、その合間をぬって家事を行う。最近は仕事が執筆に移りつつあり、一応家にいる時間も長いが、ほとんどこうして机に向かっている。

「でもやっぱり親が自分から動かなければ子どもは変化しません。お父さんが帰って来た時に皆で大声で『お帰りなさーい!』という習慣をつけて、趣味の釣りにでもしょっちゅう一緒に連れて行ってもらって下さい。」とアドバイスすると、「タダでさえヒマがなくて自分の釣りにも行けないのに、その上子どもをしょっちゅう連れて行くなど言語道断!」と怒鳴られる。ちなみにこれは、家族に諦められる前のウチでの会話とほぼ同じである。ところがこのお父さんはやっぱり良い御仁で、明くる日になると、「じゃあ今度家族で船を借りて釣りにでも行くか」と言って来た。思わず嬉しくなって、わが「天敵」(最近「パートナー」再改め)に話すと、短い足をバタバタさせて、「どうして男は自分の行きたいところに家族を誘うのか。そうではなくて家族の行きたいところに男がついてくるのがこれからの当然の姿なのよ。このお父さんも、あなた同様わかってないんだなあ」と来た。来年こそ、一人旅をしようとする決意が固まった瞬間である、その前に一回だけ家族につき合って。クライアント諸兄、貴兄らは「敵」である奥さまの味方をするのであるから、私のことを「敵」とお考えであろうが、実は、私こそ「理不尽」な女性による耐え難きを忍び働く男である。ご一緒に焚火でもしよう。