2005-08-22 橋本治著『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(ちくま新書)
_ 生徒たちには苦痛であろうが、私は学校指定図書のいくつかを興味深く読む。今年の夏は、S女子大付属高校のこれが面白かった。このコラムの読者にも是非一読をお勧めしたい。
この本のテーマは、まさに書名通りなのであるが、初め、「美しい」とは何かを規定して行き、徐々に、「美しい」が分からないことが、人間として如何につまらないことであるかを語って行く。そして、この世の中に美しいと感じるものが沢山あるからこそ我々が自殺せずにいることを指摘する。
これは若い時に自殺願望の強かった私が前向きに生きれるようになった理由と一致する。私は、21才の時のアジア旅行中に、世の中にこんなにも美しい景色が沢山あるのなら、どんどん生きて旅行して、飽きるまでそれを見てやろうと思って前向きに生きることができるようになった経験がある。優れた芸術作品についても同様である。こんなにも美しいものを作り出すものたちがいる世の中はなかなか素敵ではないか、こう思うのが常であった。つまり、美しく感じるものがなければ自分はこうして生きてはいないと言えるのである。
しかるに本日、その女子高生と感想文を作ったが、彼女曰く、
「この本はつまらなすぎる。読もうとするとすぐに眠くなってしまう。だいたいから美しいとか美しくないとかグチャグチャ言うのは男の人。いいじゃあない。個人が勝手に美しいと思えば」。
やっぱり、図書を指定するのは止めた方がよさそうだ。
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