ブイネット教育相談事務所


2005-09-15  バイオリン留学

_ 今夏熊野でお世話になったWさん御夫妻は、実にユニークな御夫婦だった。奥様は、とても活動的で、次々に思いついたことを確実に実行に移す。それを、柔軟で忍耐力のある御主人が、最良の智慧を絞ってアシストする。実に近未来型の御夫婦だ。

さらに興味深いのは、独自の教育観だ。

まだ気づいていない人もいるが、我々は公教育を利用しはするが、これを全面的に信頼してはならない。全ての教師がそうとは言えないが、ただ資格試験に通っただけの公務員の、自分の仕事に対する意識が衰えている風潮の中で、教職者とても例外ではないことは皆さんも良くご存知の通りである。

しかし、お子さんの状態が悪くなった時、場合によっては、その理由が学校にあることを親が喝破することは、苦しんでいるお子さんにとってなくてはならない助けとなる。一昔前なら、先生を疑うことなどありえないことだった。しかし、今は時代が違う。良く子どもの話を聞いて、「そりゃ先生の方が悪い」と親が断じてやる必要がある局面は無数にある。

Wさんのお子さんのK君は、極めて誠実で善良な人柄である。また、Wさんのお子さんであるからユニークである。その息子さんが小学校のとき登校拒否になった。そのきっかけは、学校の宿題で、秋の山の植物を採集して来ることが出された時であった。山といっても、入りなれていない子もいる。また、とかく収穫を待つ産物がある秋の山に勝手に入るのは、村の人に許されない場合がままある。K君は、クラスを代表して(クラスといっても12人)顔見知りの人の山に入って、授業に使えそうなものを集めてきた。ところが、これを知った先生は、「授業の邪魔をした」と言って、K君をヒステリックに罵倒した。この結果、その理不尽を受け入れられない純粋なK君は学校に行かないことにした。

Wさん御夫妻は、息子さんの正しさを信じ、自分達で勉強の面倒を見て地域トップの公立高へ進学させた。息子さんは楽しい高校生活に恵まれ、同時に幼い頃から学んできたバイオリンの腕をめきめき上げた。

そして高校三年。彼は、ピアノの名手の友人と二人でCDの自主製作を行った。このCDは、実に素晴らしいもので、聴く人全てをうっとりさせるものであった。V-netでは、この夏以降、事務所でこのCDを年中かけることになった。聴いた人の多くはダビングを申し出た。

私は、教育相談でVーnetを訪問する人たちにこのCDを聴かせ、そして語った。ーこの演奏者は今19歳である。彼はここまで素晴らしい演奏をするようになって、上には上がいることを強く認識した。しかし、バイオリンという楽器の音色の素晴らしさはどうしても捨てられないと思った。だから彼はイタリアへ渡った。今は、バイオリンを作る職人になるために修行中なんだよ。