ブイネット教育相談事務所


2009-07-25 藤原命日

_ 藤原命日

日本経済新聞社は、21日、東京•大手町の経団連ホールで「ゲームが開く学びの世界」をテーマにシンポジウムを開催したそうだ。

日経は、ここへ、あのリクルート出身、杉並区和田中学校の前校長の藤原和博氏が「ゲームと教育の融合」と題して基調講演したと報道。「ロールプレイング(疑似体験)などゲーム的な学びを授業に取り入れるべきだ」to述べたと言う。藤原氏は、ゲーム機や携帯電話のメールを使った授業の利点を強調したという。

私は、「写真判定」で、藤原さんはあんまりアタマが良くない人物だと見抜いていたが、サピ教師を使ってしまうという発想は、「合理的」で面白いと思っていた。でも残念ながら今回の発言で、彼は教育の世界では仕事をできない知能の人物であることが明らかになってしまった。この人は、東北大教授の川嶋隆太氏が、任天堂からもらった20億円以上のロイヤリティーを全額東北大に寄付したことをご存知なのだろうか。

まず、彼は実際のゲームやネットや携帯に依存し過ぎているものたちの問題を知らないかのように振る舞う。そんなことはあり得ない。中国ではすでにネット中毒に電気ショックも加えていたほど問題になっているのである。ゲームで平気な人たちもいる。でも一方で、確実にゲームによって害を受ける子どもたちがいる。ネットや携帯電話を有効利用するものがいる一方で、やり過ぎになっている自分に自覚的ではない人は意外と多い。

とまれ、各家庭で、「うちでは携帯電話は認めない」、「テレビゲームはやらせない」と決めている御家庭もあろうから、日経シンポのように、一律にゲームや携帯を使わせるように仕向けることは不可能なことであろう。

現時点で、儲かっている会社の筆頭の一つがゲーム会社。他の企業が不況に喘ぎ、広告などの費用を節減せざるを得ない不況下で、新聞社はゲーム会社と手を組むということらしい。子どもの頭を悪くすることに協力するのであるから、悪しきを告発して伝えるジャーナリズムとしての役割は最早過去のものとなっている。

後の判断基準のために、リアルな体験のみが必要な子どもたちに、可能なかぎり面白くしたソフトを売りつけようとすることによってその機会を奪う。

教室を面白くするためには機械は要らない。

教室を面白くするのは熱意のある人間のエネルギーである。

金八先生が流行って久しいが、そこにあったのは、「熱の強調」だけだったと思うのは私だけであろうか。

子どもが求めるものは、教師の熱と自らの追体験である。