2009-07-27 夏休み学習法
_ 夏休み学習法
夏休みの初めということで、夏期中の過ごし方についてのアドバイスを求める方が多い。
人によって差はあるが、私はだいたい以下のようなことを話す。ここに簡単に紹介する。
―自分で勉強する習慣を付けるようにする。
それには現在の自分のアタマがより良く動くことができるようになることに強い好奇心を持つことだ。自分のアタマが変化して行くのはオモロいし快感ですらある。
教材はあり過ぎるほどある。何をやってもかまわない。
塾にそんなに通わなければ、時間の余裕ができるから、自分で前向きにテーマに取り組む。その際に特に注意するべきこと、そしてこれさえ上達すればどうせ上の学年で成績が上がるのは必至という、つまらない入試の合否を越える究極の学習ポイントがある。
それは、
1 文章力向上
2 暗記力向上
3 暗算力向上
4 疑問想起力向上
の四つである。
結局学歴を重ねるとは考察対象の記述表現ということに行き尽くし、言わずと知れた「支配」とは言語で行うものなのであるから、生きている間文章力は常に向上していなければならない。あらゆる資格試験も、最後は小論文に面接。言語によるコミュニケーション能力はビジネスを起こす場合でも不可欠である。つまり、これこそ、別に作家にならなくても近代社会で食べて行く飯のタネである。高学歴は文章力で決定される。だから、文章力の基本が備わらないのに上級校の受験勉強をしようとするのはナンセンスである。
文章力の向上にはまず言語センスを磨くことだ。それには古典名文の音読が良い。
毎日文章を書く。人に読ませるオモロいものを書く。どうしても伝えたい体験やその印象を書く。物語を書くのは理想である。
文章を書くと漢字力、特に抽象語が使いこなせる必要性が生じて来る。そのためには漢字の意味と綴りを一発で覚えなければならない。他にも覚えなければならないことをできるだけ一発で覚えようとする習慣。
暗記をする際の究極コアは、鮮明なイメージと、連結連想であり、これにより、強い印象を生み出すことができる。暗記力があれば将来我が国の試験では苦労がない。
次に暗算力。
たとえば、17×19×9を暗算で計算できるだろうか。
17×19=17×20―17=323(V-net流では、18×18−1=324−1とやる)
さて次に323×9であるが、これを暗算でやろうとすると、
323×10−323=3230−323を暗算でやらなければならない。
このままイメージで暗算できない場合は、2930−23を行い、2907を得る。
もちろん、23×9を207と出しておいて、これを覚えていて、300×9=2700と足して2907を得ることもできる。
お気づきであろうか。我々はこのような計算を暗算でする場合、先に計算した数値をメモリーしている必要性が起こるのである。この能力は、筆算ドリルでは絶対につかない。しかし、こうして頭の中にメモリーやイメージを持ちながら算数や数学を行うのは、地理の学習をするのに地図が読めることが前提になるのと同様不可欠な要素であることは誰でも分るだろう。脳内メモリーがなければ論理的な思考はほぼ不可能なのである。
最後の「疑問想起力」とは、「なぜ?」と発する能力のことである。この能力がなければ、将来理科系文科系、自然科学社会科学のどちらでも、それに取り組んで能力を向上させることはできないだろう。闇雲な暗記に走っても、着想力や感受性を劣化させるだけである
何の学習をしようが、常に以上の四つに留意しながら、具体的な題材に向かう習慣を付けることが学校から逃れることのできる夏休みの過ごし方になる。
夏休みは、登校拒否児は出席扱いになるのであろうか。だとするならなかなか面白い。